南関東4競馬の「不透明な運営体質」への苦言(2) | 裏・猛牛丸日記(マーブルXの裏の裏・どろどろ日記)

南関東4競馬の「不透明な運営体質」への苦言(2)

(転籍騎手の受入面での問題点について)

さて、これは南関東4競馬場に限らず、全国各地の地方競馬にも言えることなのだが、「騎手本人の都合」の場合だけではなく、「所属競馬場が廃止、又は休止という状況」における場合の転籍(移籍)に際しても、各地の騎手会(又は調騎会)等の定める「内規」等によって、転籍後の一定期間は騎乗出来ない「猶予期間」が生じてくる部分がある。

勿論、大怪我等で長期休養明け、というような、「止むを得ない場合」における、復帰を前提とした「技術研修」の面での「猶予期間」であれば、それは問題ない所だろう。
だが、しかしながら、万一、「騎手の所属する競馬場が廃止になった場合」において、転籍地の騎手会等の定めた「内規」によって、転籍してすぐに騎乗出来ない、というのでは、騎手の技量・能力面での劣化のみならず、「やる気」の喪失をも生み出しかねない面が出かねないのではないだろうか???
また、これは、最近問題となっている、「中央・地方の『重複免許』あるいは『一元化された統一免許』に関する、制度上の問題」(いわゆる「ダブル免許制問題」)等とも、密接な関連性をもっている一面があるので、あえて問題として論じてみたい。

その好例の一つが、2001年4月の、大分県の中津競馬の廃止(6月3日限りで開催休止、のはずが、新年度の4月1日以降の開催を、「映像業者との補償交渉の決裂」を口実にして、「中止打切」にしたまま廃止)により、兵庫への転籍を余儀なくされた有馬澄男騎手であろう。
同騎手の場合は、兵庫県の騎手会の定めた、「一旦現行の騎手免許を返上、一時的に「引退」の手続をした後に、転入後最低1年間の、厩務員としての研修期間を経なければ、騎手としての復帰は出来ない」という、おかしな「内規」により、復帰が2002年10月にずれ込んでしまったのだ。

振り返って、南関東地区の場合はどうだろうか???
南関東地区の場合、大井と川崎・船橋・浦和とでは、騎手の転籍に関する取り扱いに、以下のような相違点がある。

通常、他地区から南関東地区に騎手が転籍する場合、大井競馬では騎手会が一切受入を拒否し、結果として、川崎・船橋・浦和の3場のいずれかへの転籍を余儀なくされ、更に「研修・待機期間」と称する、6ヶ月間の「騎乗猶予期間」を経た後に騎乗可能となる。
(大井における「例外」は、(1)新潟県競馬にレンタル移籍していた山本泉・元騎手の引退後の「代役」として1999年9月から2000年12月までレンタル移籍した後に大井にUターン復帰した、川本裕達(かわもと・ひろみち)騎手と、(2)島根県の益田競馬の廃止の後に、大井関係者の親類のオファーもあって特別区競馬組合より打診を受けて転籍に至った御神本訓史(みかもと・のりふみ)騎手の2名しかおらず、その他の騎手の転籍の希望は頑として却下、という状況である…。)

仮に、「所属場の廃止によって、止むを得ず転籍」という場合においても、「その期間が短縮される」とはいえ、「猶予期間」を最低でも2ヶ月、平均では3~4ヶ月要するという、騎手にとっては「受難の日々」が続く事にもなる。(その間に、騎手間での相互の「しがらみ」(←談合的な関係云々も含めた)等から、転籍してきた騎手の騎乗技術が、転籍前のそれとは「変わり果てたものになる」危険性も出て来る。)

これらの、転籍騎手に対する、「騎乗猶予期間」等における取扱は、各地区毎に大きく異なっており、「A競馬場では転籍後1ヶ月経てば乗れるのに、B競馬場では転籍後半年経たないと駄目」という風な、「帰属の概念」がある故の「地域間の格差」をも生み出し、結果として騎乗技術の発揮をしにくくしている状況をもたらしてもいる。

となれば、これらの問題解決の為には、各地区毎の「騎手の転籍」に関する騎手会等の定める「内規」等のルールの面を、「全国統一ルール」の制定等により一本化する等の、「スムーズな転籍」を可能たらしめる為の抜本的対策が必要になって来ると思うのだが…。

さて、特に、大井競馬場(特別区競馬組合)をはじめとして、南関東地区の競馬の場合、競馬に関する「情報公開」の面において、いくつかの問題点が挙げられ、その事は同時に全国各地の地方競馬、ひいては中央競馬も含めた全国すべての競馬における、各種レース情報の公開の面にも多大なる影響を与えている面がある。以下に、その問題点を挙げてみたい。

(1)南関東版(東京本社版の「首都圏版」の紙面を指す)のスポーツ新聞の場合、各紙とも連日のように、金太郎飴の如く、自地区の競馬の印付き出走表(メインレース、或いは新聞によっては一部特別レースも含めた「簡易馬柱(印付き出走表に前走着順データも含めたもの)」、又は前2~3走程度の馬柱付き出走表も。ちなみに、「デイリースポーツ」紙の場合、南関東競馬に関しては、全レース分の前3走着順+脚質+2連対率等を掲載している。)を載せて、自地区の電話投票「SPAT4」会員の便宜を図ってはいるものの、一方において、「東京中日スポーツ」等の一部の新聞(←新聞が発売される地域にもよる)を除いては、他地区の通常のレースは、(南関東地区発売のレースを除いては)北関東競馬の出走表すら掲載されず、これらが、特に地方競馬共同在宅投票(D-net)の加入者をはじめとした南関東以外の他地区の電話投票の加入者のファンに、ある意味「不利益な取り扱い」をさせている点。(それゆえ、他地区のレースの詳細な情報が、必然的に、インターネットの、「keiba.go.jp」のHPでしか入らない…という状況すらもある…。)

(2)その上に、重賞有力馬の出走ローテーション等や、騎手・調教師の動静・消息等に関する情報が、中央競馬の場合(それでも重賞における有力馬が中心…。)と比べて、「南関東地区の公営競技場の多さ」ゆえの「紙面上の制約」にも助けられてなのか、ほとんど報じられず、結果、紙面上の記事全体における扱いが「オートレース並、又はオートのそれより(平均で)多少多めな程度」という、情報公開の少なさが存在する点。

(3)これは、地方・中央共通の情報公開における、全国的に存在する「構造上の問題」だが、競馬のライバル競技の1つである「水上の格闘技」・競艇の場合、レース直前の「スタート展示」(スタート時の進入が、「スロースタート」か「ダッシュスタート」か?)や「展示航走」などにおいての、競技情報の公開が、直線150mの航走タイム(展示タイム)モーター(エンジン)の部品の交換や取付け(チルトの角度やら、一部の場におけるライナーの装着状況等)まで含めて、すべてファンに対して詳細に公表され、それらがファンに好評を得ているのに対して、競馬の場合は、装蹄(蹄鉄の使用状況)や馬具等の装着状況等については、中央における遮眼革(ブリンカー)の装着の有無の「例外」を除いては、一切公開されておらず、地方競馬を扱う一部の専門紙(特に南関東)においても、ブリンカー、ものによってはシャドーロールの装着状況が、馬柱の前走データ欄の下部に記号で公表されているだけで、実際には、開催本場のパドック(馬下見所)にて生で見ないとそうした「競技情報」が入手出来ない、という状況を生み出している点。
その上に、他地区の中には、コース上の砂の入れ替え状況を公表している地区もあると言うのに、南関東においては、主催者の4組合側が、きちんとその辺をもマスコミに公表させない部分があり、馬場状況(時計差も含む)等の問題と合わせて、改善の余地がある点。

(4)その上に、南関東競馬の場合、いくら「各地から優秀馬を転入させて寄せ集める」為とはいえ、たとえ下級条件馬の競走においても、相対的にみて「実際の全国水準の能力レベルと不相応」の、極めて高額な賞金体系となっており、それらが、(大相撲よろしく)調教師・騎手等に蔓延する「消極的プレー(いわゆる「行き・行かず・やり・やらず」の部分も含む)」に見られる様な「無気力競馬」、ひいては各種不正行為等までをも生み出す「温床」ともなっている一面がある点。
又、それらの部分における、専門紙の「厩舎情報」(調教師コメント)や調教タイム・評価(追い切り時計)、展開想定に対する、実際のレース展開との相違に起因する「分かりにくさ」。(→いくら「展開的なアヤ」が有っても…。)
(他地区競馬の一般戦における1着賞金が、せいぜい数十万円程度なのに対して、南関東のそれは、いくら「最下級」のC3戦でも、1着馬には最低でも百万円は出す仕組みとなっている。当然、「取るに足らぬ」ような重賞戦でも、平気で1千万円超の高額賞金が出る上に、ダートグレード競走の賞金よりも、自地区限定の重賞競走のそれが高いという、いかにも奇妙な「逆転現象」が生まれて来る訳だ…。)

(注:もっとも、この「分かりにくさ」は、南関東だけの問題でなく、地区によっては、「専門紙が単なる馬柱の寄せ集めだけで、調教タイムすら掲載されない」地区や、専門紙が「厩舎情報」をほとんど公表しない地区もある。)

(5)さらに、南関東競馬の広域発売の場合、最近の、新潟県競馬(新潟・三条)や益田競馬(島根県)等の廃止による、事実上の「吸収合併・専用場外化」にもかかわらず、そうした廃止地区等における、南関東競馬の場外発売に関する広域的なPR(地元一般紙・TV等へのCM広告等)を、「スポーツ新聞任せ」にして、事実上「怠っている」点。(これは、「広報予算を無駄にしている」部分がある点として、問題視されて当然だろう…。)